長屋の今月の少女趣味こうなあ 9
永久欠番 中島みゆき
どんな立場の人であろうと
いつかはこの世におさらばをする 街は回ってゆく 人、一人消えた日も
何も変わる様子もなく 忙しく忙しく先へと
百年前も百年後も/私がいないことでは同じ
同じことなのに/生きていたことが帳消しになるかと思えば淋しい
街は回ってゆく 人、一人消えた日も
何も変わる様子もなく 忙しく忙しく先へと
かけがえのないものなどいないと風は吹く
愛した人の席がからっぽになった朝
もうだれも座らせないと/人は誓ったはず
でも その思い出を知らぬ他人が平気で座ってしまうもの
どんな記念碑も 雨風にけずられて崩れ
人は忘れられて 代わりなどいくらでもあるだろう
だれか思い出すだろうか
ここに生きてた私を
百億の人々が 忘れても 見捨てても
宇宙(そら)の掌(てのひら)の中 人は永久欠番
宇宙の掌の中 人は 永久欠番
虎さん そういえば、ご隠居は中島みゆきさんが好きでしたなあ。これも前にも出ましたね。
ご隠居 そうやねん。わし、葬式の時は、雅楽のかわりに中島みゆきかけて欲しいと思ってるねん。
虎さん たしかに順序にルールはあるけど、ルールには必ず反則もある。って、どういう意味でっか。
熊さん だいたい、年の順番で死ぬということや、せやけど、なかなかその順番通りにいかんということも多いやろ。
ご隠居 ほんまやなあ、逆を見ることほどつらいことはないもんなあ。
虎さん 百年前も百年後も、私がいないことでは同じ
同じことなのに、生きていたことが帳消しになるかと思えば淋しい。ってわかりまんなあ。
熊さん そういえば江国香織さんに、「無題」という詩がありますね
どっちみち/百年たてば/誰もいない
あたしもあなたも/あのひとも
虎さん ご隠居は百年もかからん。せいぜい十年余りかなあ。
ご隠居 やかましい。百年たったら、確かにみんな死んでしまうけど、人間は生まれ変わるんや。またわしら同じように生まれ変わってくるんや。
熊さん ということは、来世でも虎とか、わしとかご隠居とか一緒におるということでっか。
ご隠居 そういうことみたいやなあ。
虎さん そら困る。ご隠居は永久欠番ということで・・。